
広告代理店のリプレイスを考え始めたとき、たぶん一番困るのはここです。
- 変えた方がいい気はする。でも、変えて悪化したら怖い
- 何から手を付けるべきか分からず、社内調整だけで時間が溶ける
- 権限やデータが絡むので、後戻りできない感じがする
この記事は、広告主側が事故らずに前に進めるためのガイドです。
この記事でわかること(3分で全体像)
- 代理店を変えるべきタイミング(「成果が悪い」だけで判断しないサイン)
- 失敗しないリプレイス手順(5ステップ)(順番を間違えない)
- 切り替え時の注意点(契約・権限・計測・素材・移行後の動き)
- コピペで使える引き継ぎチェックリスト
- よくある失敗例と回避策(やりがちな落とし穴を先回り)
- 迷ったときの結論:“小さく試してから決める”という現実的な着地点
先に結論:リプレイスは「代理店を変える作業」ではなく「運用の仕組みを整え直す作業」
リプレイスが失敗するのは、だいたい次のどれかです。
- 契約や権利関係を見ずに動いて、切り替えスケジュールが破綻する
- アカウントの所有/管理者権限が曖昧で、引き継ぎで詰む
- 移行直後に数字がブレて焦り、一気に変えすぎて迷走する
逆に言えば、目的→棚卸し→契約→要件→引き継ぎ→安定化の順番を守れば、リプレイスはちゃんとコントロールできます。
広告代理店をリプレイスすべきタイミング(よくあるサイン)
成果だけで判断するとブレます。私は「構造的な問題が出ているか」で見るのをおすすめします。
サイン1:レポートはあるのに、社内で意思決定できない
数字は並ぶけど「結論」「次アクション」「優先順位」が出ない。
これは運用というより、意思決定の型がない状態です。
サイン2:提案が“打ち手”止まりで、検証の筋が通っていない
「これやりましょう」はあっても、「なぜ」「どう確かめる」がない。
勝ち筋が積み上がらず、ずっと同じところを回ります。
サイン3:権限・計測・素材の所在が不透明
広告アカウント、GA4/GTM、クリエイティブ元データ。
ここが曖昧なまま切り替えると、リプレイス時に詰みやすいです。
サイン4:対応遅延/ミス/コミュニケーション不全が常態化
成果以前に、運用の土台が崩れているサインです。
失敗しない広告代理店リプレイスの手順(5ステップ)
STEP1:目的と判断基準を1枚にまとめる(ここが曖昧だと再発します)
例)
- CPAを○○円以内にする
- 有効リード率を○%にする
- 週次で「結論→根拠→次アクション」が出る状態にする
「代理店を変える」ではなく、何をどう良くしたいかを固定します。
STEP2:現状の棚卸し(引き継ぎ対象を“全部”洗い出す)
- 媒体/予算配分
- アカウント構造(キャンペーン/ターゲット/入札)
- クリエイティブ素材と元データ
- CV定義と計測(GA4/GTM/オフラインCV等)
STEP3:契約条件・解約条件・成果物の権利を確認する(最重要)
- 契約期間、更新タイミング
- 解約予告期間、違約金
- 手数料体系
- 制作物(LP/バナー/動画/レポート)の権利と納品範囲
切り替え日を決める前に確認します。
STEP4:新しい代理店に求める要件を固める(“同じ失敗”を繰り返さない)
- 得意領域(獲得/BtoB等)
- 体制(担当者の経験、レビュー体制)
- 透明性(変更履歴、運用の根拠、レポート粒度)
- どこまでやるか(運用だけ/LP改善まで等)
要件が曖昧だと、結局「良さそう」で決めて再発します。
STEP5:引き継ぎ〜安定化(移行直後は“整える期間”を取る)
移行直後は、引き継ぎの影響で数字が不安定になることもあります。
焦って全部を変えず、
- まず構造を安定させる
- 次に訴求/クリエイティブ
- その後にLPや配信設計
の順に直すと迷走しにくいです。
リプレイス時の注意点(ここを落とすと事故ります)
注意点1:広告アカウントの所有者と管理者権限
ここが曖昧だと、移行作業が止まります。権限は早めに整理します。
注意点2:CV定義・計測方法がズレると比較できなくなる
「CV=フォーム送信」なのか「有効リード」なのか。
これがズレると、改善/悪化の議論自体が壊れます。
注意点3:移行タイミングで“一気に変えすぎない”
構造も訴求もLPも同時に変えると、原因が追えません。
段階的に変えて、比較できる状態を守るのが堅いです。
注意点4:クリエイティブ・LPの元データと権利
「勝ち素材」が引き継げないと、学びがゼロからになります。
契約と制作範囲の確認は丁寧に行いましょう。
コピペで使える:引き継ぎチェックリスト
契約・権利
- 更新日/解約予告/違約金を確認した
- 制作物(LP/バナー/動画/レポート)の権利と納品範囲を確認した
権限・データ
- 広告アカウントの管理者権限が広告主側にある
- GA4/GTMの管理者権限が広告主側にある
- CV定義(フォーム送信/有効リード/商談等)が明文化されている
- 引き継ぎできない可能性のある項目を事前確認した
運用情報
- 現在の構成(キャンペーン/ターゲット/入札)を記録した
- 予算配分、配信停止/切替日を決めた
- “勝ち素材”と学び(何を変えてどう動いたか)を残した
よくある失敗パターン
失敗1:目的が「今の代理店が嫌」だけで、要件がない
回避策:目的と判断基準を“数値/ルール”に落とす(STEP1)
失敗2:権限・素材・計測の引き継ぎで詰む
回避策:STEP2とチェックリストを「検討開始時」にやる(遅いほど詰む)
失敗3:移行直後に焦って迷走する
回避策:移行後1〜2ヶ月を「安定化期間」として社内合意し、段階的に改善する
Q&A(よくあるご質問)
Q. 代理店を変える“ベストなタイミング”はありますか?
「成果が悪い」だけだとブレやすいので、本文のサイン(意思決定できない、検証の筋がない、権限が不透明、運用品質が崩れている)に当てはまるかで判断するのが安全です。
Q. 一番多い事故ポイントはどこですか?
私は 契約(更新/解約/権利) と 権限(アカウント・計測) の2つだと思います。ここが曖昧だと、切り替え自体が進みません。
Q. リプレイス直後に数字が落ちることはありますか?
可能性はあります。だからこそ「安定化期間」を最初から設けて、一気に変えず段階的に改善する前提で進めるのが堅いです。
Q. 迷ったら、まず何から手を付ければいい?
まずは STEP1(目的と判断基準) と STEP2(棚卸し) です。ここが揃うと、社内説明も次の代理店選定も一気に楽になります。
まとめ:着地点は「小さく試して判断」か「仕組みを整えてから切り替え」
広告代理店のリプレイス(乗り換え)は、やり方さえ整えれば怖くありません。
ただ、いきなり長期契約で決めるのが不安なら、
- 短期間・小さな範囲で試してから判断する
- 現状の棚卸しと仕組み整備を先にやってから切り替える
このどちらかに落とすのが現実的です。